研究概要 |
本年度は,左利き児童の書字データの補強,書字教材を構成する要素の抽出,要素ごとの単位教材モデルの作成を以下の通り実施した。 1.前年度調査対象とした左利き児童(東広島市の小学校)を対象とし,昨年度のデータを補強するために,書字の状況についての変容を次の観点から観察(平成19年4月から同12月まで9回)した。 (1)筆記具の持ち方の状況(指の位置・手首の状態・軸の角度),(2)姿勢,(3)筆圧,(4)書字方向,(5)机上における教材(教科書・ノート等)の位置,(6)書かれた文字の字形,(7)書かれた文字群の配列・配置 身体の発達に伴う書字状況の変容((2))や環境の変化に伴う書字状況の変容((5))は若干みられたが,その他については,各個人内において恒常性が認められた。 2.小学校段階において使用される文字教材を各学年ごとに分析し,書字教材を構成する要素を抽出した。文字の大きさには発達段階への配慮があったが,字形,書式等の要素はパターンとして固定されたものであり、左利きへの配慮も乏しいものであった。 3.形式的な要素ごとに,左利き児童の書字上の困難点を緩和(解決)するための手立てを検討した。現在,それをもとに単教材モデルを作成中である。 最終年度となる来年度は,単教材モデルの作成を終え,大学生・大学院生を対象に予備的検証を行い,検証結果をふまえて修正を図り,東広島市内の小学校において検証を行う予定である。
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