研究概要 |
1.小学校5年生〜高校2年生の軽度発達障害児10名(ADHD 6名、LD 1名、高機能広汎性発達障害3名)の母親へのインタビューにより、子どもの学校での様子、友人関係、反抗期ならではの問題などについて調査し、思春期ならではの問題を検討した。3ヶ月以上の不登校を経験したことがあるのは10名中4名(小学校時代1名、中学校時代3名)であった。また残りの6名全員にも登校渋りが認められ、学校での不適応感を抱えていることがわかった。いじめ被害は7名、他害行動や非行は2名に見られた。全母親がわが子の不安定さを訴え、母親自身への支援も必要であることが伺われた。さらに症例を増やし、二次障害の発生メカニズムについてまとめていく予定である。 2.軽度発達障害児の社会的適応を高める効果的な方法を探究するため、小学校4年〜中学校1年生12名のソーシャルスキル・トレーニングを実施した。同時間に母親にはペアレント・トレーニングを実施した。ADHDと広汎性発達障害では対人関係の問題やスキルの学び方が異なることが示唆された。その成果の一部は、「ADHD児を対象としたソーシャルスキル・トレーニングの試み」(いわての特別支援教育45,4-11)として発表した。 3.特に深刻な学校不適応をきたしている2名と家庭内で問題行動をきたしている1名の軽度発達障害児にカウンセリングを実施した(19年度も継続)。周囲の大人には当人の障害への理解を促すこと、当人には主観を尊重しながらも、周囲や自己への見方を変える認知療法的な手法や自己管理を深めていける支援が効果的であることが示唆された。
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