本研究は、行動的変化が全く認められない多くの重症児の情報取り込みとその活用実態を評価して教育・療育現場で有効な支援方策を確立するには、どのような認知神経科学的アプローチが必要で、そのプロトコールはいかなるものであるべきなのかを検証しようとするものである。 平成18年度には、下記の取り組みをおこなった。 1.10名の超重症児の潜在的認知能の可能性について、担当医師、指導員、訪問教育担当教員と協議して、個々の事例に即して働きかけが有効と思われる機能系を体性感覚、嗅覚、聴覚に絞りこんだ。 2.超重症児において脳血流光トポグラフィ(NIRS)、体性感覚電(SEP)、聴性脳幹反応(ABR)、心拍(ECG)などの神経科学的計測を試み、応答の有無や刺激条件を担当医師、指導員、訪問教育胆当教員と吟味した。 3.健常大学生を対象として、脳血流光トポグラフィ(NIRS)、体制感覚誘発雷位(SEP)、聴性脳幹反応(ABR)、心拍(ECG)などの基準データを得た。 4.個々の超重症児に即した計測条件を決め、それぞれの対象児について3回から6回の神経科学的計測を実施した。 5.その結果、特定の刺激条件下では微弱ながら脳血流反応を示す超重症児も認められ、そのような児にはその機能系への働きかけが有効に機能している可能性があることが判明した。 6.表出機能が著しく制約されている超重症児の認知機能評価に神経科学的検索データを活用できる見通しを得、次年度予定している超重症児への支援方策検討め条件を整えることができた。 7.上記の研究成果を、平成18年度に開催された日本特殊教育学会、日本小児神経学会、日本臨床神経生理学会(教育講演)において発表した。
|