α-行列式の表現論を本格的に開始した。α=-1のときは、α-行列式は通常の行列式に他ならず、そのGLn-巡回加群は1次元(既約)表現である。α=1のときは、α-行列式はパーマネントであり、そのGLn-巡回加群は対称テンソルが定める既約表現となる。したがって、一般のαに対して、α-行列式が定めるGLn-巡回加群は、これら2つの既約表現を補間するものである。本年度は、とくにα-行列式の整数べきが定めるGLn-巡回加群の研究を行った。(1)αがgenericのとき、当該加群は全テンソル代数のべき次対称テンソルのn次対称テンソル空間と同値になり可約である。従ってその既約分解の各既約表現の重複度はKostka数で与えられる。 (2)αがgenericでないときには、当該加群は退加するが、その退加の様子を記述するために、ある多項式係数の行列(遷移行列)を研究した。(n=2のとき、遷移行列は1次となり、Jacobi多項式で与えられる。さらに、その根が退化パラメータαを与える。) (3)べきが1のときには、一般のnに対し、退化パラメータαは最高ウェイト(ヤング図形)に対するコンテント多項式で与えられる。この退化パラメータαに対して、(リース行列式なる概念を定義し)新しい不変式論を展開した。 (4)べきが1のとき、量子群の枠組でも同様の研究を行った。ただし、退化パラメータの決定は困難であった(そのため、テータ級数を用いた予想を提出した)。
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