研究概要 |
常微分方程式用に開発した解の値を有限にとどめる変換法を,解が非有界である偏微分方程式の時間反転熱伝導方程式に適用した.数値計算のための離散化には安定な陰解法であるスペクトル選点法を用い,非線形性を解決するためニュートン反復法をかけたが反復法が収束しなかった.精査をかけたところ,常微分方程式では存在しなかった不連続性が発覚した.この解決策を探るべく研究を続行している. 関連する補足研究として次の研究に着手した.領域全体では解は不連続であるため数値計算がうまくいかないものの,部分領域に限定すれば解は連続(場合によっては解析的)になっている.せめてこの部分の計算が行えないかという着想である.解析接続をできるところまで行うという発想であり,熱伝導方程式に対してこの解の接続問題を研究した.解の非存在の数値シミュレーションなど様々な興味深い計算結果が得られた. 多倍長計算を効率よく行うことのできるライブラリを調査したところ,京都大学大学院情報学研究科藤原宏志氏の開発したexflibが他のライブラリより数倍以上コンパクトで高速であることが判明した.それでも多倍長計算は膨大計算機資源を要求するので,高性能ワークステーションを購入して,既存の計算機と高速ネットワーク接続した.そして,exflibをPVM並列計算環境で使用できるよう工夫して,空間1次元のポワソン方程式の境界値問題を数値計算したところ,誤差が10^<-10000>を超える超高精度を実現した. 研究に必要な情報交換および研究成果の発信の場として,応用数学合同研究集会(2006年12月20日〜22日,龍谷大学瀬田キャンパス)を企画し事務局を担当した.また,研究成果の一覧をWebで公開した.(http://isam.pm.tokushima-u.ac.jp/~imai/Kakenhi/2006-2007_Hoga/)
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