研究概要 |
中面超平面配置は、整数上で定義されている超平面配置であり、整数上の超平面配置は以下の意味で特別な超平面配置である。すなわち、素数を法として考えることにより有限体上の超平面配置が得られる。この素数が十分大きい場合には、有限体上の超平面配置ともとの超平面配置は組合せ的に同値であることがよく知られている。 このことは、中面超平面配置の特性多項式を求める方法として用いられる有限体法に,使われている。より一般に、任意の正整数を法とする超平面配置を考えることによって、より効率的に特性多項式が決定できる可能性がある。すなわち、素数とは限らない正の整数を法として、(整域とは限らない)有限環上の超平面配置を考えることにより、擬特性多項式が得られる。今年度は、この擬特性多項式を、ルート系から決まる超平面配置に場合に決定し、興味深い結果を得た。これは、Athanasiadis, Blass-Saganなどの先行研究を統一的にみる新しい視点を与えた。また、もともとの主たる研究対象である中面超平面配置の擬特性多項式については、次元が6以下の場合に、完全に決定することに成功した。この結果は、昨年のイスタンブールでの研究会の招待講演で発表されたので、近日中に、その会議録(査読付)に掲載予定である。 本研究計画に至った経緯を思い起こしてみると、中面超平面配置(mid-hyperplane arrangements)が統計学および計量心理学におけるfolding modelの数学的解釈を与えていることが背景であったことを考慮するとき、中面超平面配置の擬特性多項式の統計学的、計量心理学的な意味付けは大変に興味深いが、次年度以降の大きな課題である。
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