主な研究目的は、定曲率空間(一般次元の球面および双曲空間)における不変な等温面の性質について調べることである。海外共同研究者のMagnanini教授(フィレンツェ大学)および研究分担者の宇田川助教授(日本大学)と電子メールによる普段の研究連絡の他に、国内の多くの研究協力者との討論および情報交換を行った。また、特筆すべきことは、海外から、楕円形および放物型方程式の解の等位面の形状の研究に特に詳しいSalani助教授(フィレンツェ大学)を愛媛大学へ招聘し、研究課題について討論および情報交換を行ったことである。 今年度この研究によって得られた新たな知見は次である。 一般次元の球面または双曲空間の中の現界∂Ωが有界で滑らかな領域Ωにおいて、初期値を零、境界値を正定数とする熱方程式の初期境界値問題を考える。このとき、もし、Ωの滑らかな真部分領域が存在して、その境界が常に解の等温面ならば、∂Ωは測地球面に限る。証明は熱方程式の解の初期挙動が境界からの距離関数と関係していることを述べる。S.R.S.Varadhanの結果とA.D.Aleksandrovの折り返しの方法を直接適用することによって得られる.また、初期値問題に対して、初期値がある領域の特性関数の場合に同様な結果を得た。(論文準備中)
|