研究概要 |
今回の研究では大きなヒルベルト空間Mに含まれる小さい部分空間Nの相対的な位置関係を研究した。それもn個の部分空間N_1,…,N_nの配置を解明するのが目的であった。特に直和に分解できない直既約な配置を研究した。全体空間Mが有限次元の時は、n=1,2,3,4個の部分空間の配置で既約なものはGelfand-Ponomarevにより完全分類されている。全体空間Mが無限次元のヒルベルト空間の場合は榎本氏と代表者の共同研究があるだけである。今回の研究では、さらに、有向グラフ(quiver)に沿ったヒルベルト空間の部分空間の配置の研究を試みた。有向グラフ(quiver)の直既約表現のGabrielの定理を想いだすと、もっと大きな視点から研究したほうが、有望である。つまり、有向グラフの頂点をヒルベルト空間に辺をその間の作用素として表すヒルペルト表現を研究することである。今年度は有向グラフ(quiver)のヒルベルト表現の中で、直和分解できないという意味での直既約で具体的なモデルを構成しようと試みた。有限次元空間では、直既約な表現が有限個しかないのはディンキン図形のAn,Dn,E6,E7,E8に限るというGabrierの研究は有名である。これに対応して、無限次元の直既約なヒルベルト表現の非存在を仮定して,quiverがディンキン図形のAn,Dn,E6,E7,E8に限られることが示せるかを考察した。そのためにこの対偶をとり、今回は拡大ディンキン図形のE6^^〜,E7^^〜,E8^^〜の場合に、特定の向きづけではあるが、無限次元の直既約なヒルベルト表現のモデルを構成することに成功した。構成法は片側シフトのグラフを頂点にうまくはめこむのだが、その組み込む位置関係を見つけるのに大変な苦労をした。
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