研究概要 |
本年度は以下のような成果を得た。連携研究者の河内、金信両氏は日韓の結び目研究集会に参加、講演を行ない、リーマン面の正則族の位相的性質の研究の中心をなす、写像類群についての低次元トポロジーの立場からの研究を行なった。また連携研究者の佐官、西尾両氏は大阪市立大学で複素解析のセミナーを定期的に行ない、研究者および大学院生に最新の研究報告や重要な論文の紹介などを行なった。特に擬等角写像やポテンシャル論に関する話題が中心となった。連携研究者の大仁田、加藤の両氏は大阪市立大学で微分幾何および幾何解析に関するセミナーを定期的に行ない、リーマン面のモジュライと調和写像の関係など、数理物理にも関係した話題を数多く取り扱った。特に12月に大阪市立大学で開催された国際学術シンポジウム「リーマン面,調和写像と可視化」において、リーマン面の離散化など、これまでになかった新たな研究アプローチが内外の研究者から数多く提示され、今後のリーマン面の正則族の研究、および写像類群の研究に画期的な役割を果たす知見を得る事ができたことは有意義であった。また今吉の大学院生の能城と連携研究者の小森との共同研究により、Rieraにより構成された種数2のリーマン面の正則族の正則切断の個数の非常によい評価が得られた。当初は一般には自明な2本の切断のみ存在することを証明しようと試みたが、本年度は切断の可能性があと1本残ってしまった。これが本当に切断かそうでないかは今後の課題として残ったが、本年度に得られた結果を論文として投稿し、2月に受理された。これは昨年度行なった国際集会の報告集を出版できたことと合わせて、今回の科研費による成果の1つである。
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