研究課題/領域番号 |
18654031
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大谷 光春 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30119656)
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研究分担者 |
北田 韶彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10123118)
田中 和永 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20188288)
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キーワード | 無限次元力学系 / 非線形現象 / 放物型偏微分方程式 |
研究概要 |
研究日的にかかげた目標に関する次の幾つかの興味ある成果が得られた。 (i)報告者たちの最近の研究により、p-Laplacianを主要項に持つ準線形放物型方程式に対する初期値境界値問題に対して全ての解軌道を引き付ける「大域アトラクター」が、L2で構成され、さらにそれが無限次元となるための十分条件が与えられている。このような新奇な現象は、準線形放物型方程式に特有のものと思われる。 さらに、主要項にp-LaplacianとLaplacianを含む、ある種の特殊な準線形放物型方程式に対して、あるクラスに属する初期値から出発する解軌道を、時間に関して指数的に引き寄せる、有限フラクタル次元を持つ「指数アトラクター」の存在が示された。 この結果から特に、大域アトラクターのフラクタル次元が有限であることが導かれる。 すなわちこれらの知見は、半線形放物型方程式に対する場合とはことなり、準線形放物型方程式に対しては、大域アトラクターの有限次元性と無限次元性とを支配する何らかの構造が内包されていることを示唆しており、今後の極めて重要な研究課題を提示している。 (ii)必ずしも有界でない一般領域における、多項式型非線形摂動項をもつporous medium方程式の弱解の存在と一意性が示された。有界領域、全空間においてもこのような事実は知られていなかった。一般領域における準線形放物型方程式に対する大域アトラクターの研究は皆無であり、この方面の研究を開拓する第一歩として意義あるものである。
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