研究概要 |
研究目的にかかげた目標に関する次の幾つかの興味ある成果が得られた。 (1)我々の先行研究によって、p-Laplacianを主要項に持つ準線形放物型方程式 u_t=△_p u+uに対する初期値境界値問題に対して、全ての解軌道を引き付ける「大域アトラクター」が、L^2で構成され、さらにそれが無限次元を持つ事実が知られていたが、これはかなり特殊な状況であり、非線形楕円型方程式に関するLyusternik-Scnirelman理論からも、その無限次元性は導出できるという難点があった。 uをαu-b(x)|u|^q uとしても、大域アトラクターの存在とその無限次元性が導かれる ことが示された。これは、より一般的な非線形項f(x, u)に対しても、同様な結果が成立することを示唆する、重要な発見である。 (2)多孔質媒質中を流れる流体(溶媒)の速度及び温度と流体中の溶質の濃度の振舞いを記述する、2または3次元有界領域におけるBrin kman-Forchheimer方程式の時間大域解の存在と一意性が、H^1に属する初期値に対して、示された。 これによって、この方程式に対する、大域アトラクターの構成の出発点がクリアーされたことになる。 また、よく知られているように、3次元空間におけるナビエ・ストークス方程式の一意的時間大域解の存在問題が未解決大問題である事実と比較すると、非常に興味深い知見を与えている。
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