本研究では、次世代の陽子崩壊探索実験のための水チェレンコフ検出器用光センサー開発の基礎的な研究を行っている。具体的には、従来の光電子増倍管のダイノードの代わりにシンチレーターを設置し、光電子の打ち込みによって得られるシンチレーション発光を、近年開発されたガイガーモードAPD半導体素子で検出する、という新しい原理の検証を目指している。平成18年度においては、以下のように研究が進展した。 1)光電管出力部に設置するシンチレーター物質の調査 上記の原理に最適となる発光時間が短くかつ発光量が多いシンチレーター物質の調査を行った。近年、PET装置等の開発と関連して注目されているLSOやYAPといった新種のシンチレーター物質にも注目してサンプルを入手し、これらを封入した試験用電子管の製作に着手した。 3)APD素子の性能試験 ガイガーモードAPDに関して、ロシアや国内メーカーから供給される素子サンプルの性能試験を行い、ゲイン、量子効率、ノイズレートのスレッショールド依存性などの基礎特性の測定を行った。
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