研究課題/領域番号 |
18654050
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
粕谷 厚生 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教授 (10005986)
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研究分担者 |
伊藤 隆 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 助教授 (40302187)
前川 英己 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (60238847)
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キーワード | 半導体微粒子 / ナノ粒子 / II-VI族化合物 / 篭状粒子 / マイクロクラスター / CdSe / 量子ドット / 量子箱 |
研究概要 |
本研究の目的は機能性半導体として有用なII-VI族化合物の一つであるCdSeについて、(CdSe)13、(CdSe)19、(CdSe)33、(CdSe)34、(CdSe)48、等の直径1ナノメートル台の粒子を溶液法で選択的に大量合成し、原子数に依存する物性を詳細に解析することによってバルクでは実現せぬ電子機能を開拓して応用に役立てる萌芽的研究を実施することである。 平成18年度に於いては以下の研究を行った。 1.ナノ粒子の生成過程の解析と単離条件の決定(粕谷、伊藤) 予備的実験結果に基づき、反応条件を変化させて各CdSeナノ粒子の生成或いは成長過程を解析した。界面活性剤の濃度を上げることにより、逆ミセルの条件が変わって(CdSe)_<33>や(CdSe)_<34>が分解して(CdSe)_<13>や(CdSe)_<19>が出来ることがわかった。一方反応温度を上げると会合して(CdSe)_<48>等が成長することもわかった。今後はこれらの結果に基づいてナノ粒子生成過程を解析し、単離条件を割り出す。又CdSe以外にCdS、ZnS、ZnSe等の他のII-VI半導体のナノ粒子についても、合成を試みる。 2.核磁気共鳴によるナノ粒子の構造解析(前川、伊藤) 得られた試料につき、核磁気共鳴を測定して構造解析を行った。予想される構造として第一原理の計算結果、(CdSe)_<13>及び(CdSe)_<34>は何れも篭状で安定になる。III-V族化合物の窒化硼素(BN)nの理論的モデルに近く、2種類の原子(CdとSe、又はBとN)が交互に繋がった4員環と6員環からなるネットワークで出来た篭である。計算では中空な場合は(CdSe)12、(CdSe)28、(CdSe)28、(CdSe)36、等が安定であるが、篭の中の体積から考えてCdSe分子をそれぞれ1個、5個、6個、12個入れることが出来、それぞれ合わせて(CdSe)13、(CdSe)33、(CdSe)34、(CdSe)48で安定になると解釈された。この構造モデルと核磁気共鳴による解析結果との比較を行った。
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