研究課題
本研究では、申請者らの研究によって光励起状態での構造変化が大きいことが予測されている電子-格子強結合系物質や有機錯体結晶を中心に、光励起によって弾性特性等の力学特性に変化を示す物質探索を行うことを目的としている。またこの目的達成の為に、申請者らが開発し実用レベルに到達しつつある、パルスX線発生法(SOR光)と同期光励起の組み合わせ技術を利用して、探索のための測定装置試作とデモ実験を試行することも重要な目的としている。本年度は装置準備として、圧縮率測定のための高圧セル(共同設備)の組み合わせ改造を実施した。具体的には、大型放射光共同施設(KEK-PF-AR)を利用して、申請者らが準備を行って来た「時間分解構造解析装置」と、同じ施設の「高圧下温度可変型X線回折観測用クライオスタット」の組み合わせ利用による、光誘起弾性率測定装置の作製に着手し、高圧下温度可変型X線回折観測用装置の試料保持部を新たに作製し、励起用短パルスレーザー光が導入可能な形態の準備作業を行った。さらに高圧装置に励起光を導入する為の、超短パルスファイバーレーザーの準備も行った。また実際に光誘起力学特性変化を観測すべき物質系として、強い電子-格子結合が予測される新しい物質である高濃度カルシウムドープチタン酸バリウム結晶を準備し、予備的測定として光励起の無い状態でピエゾ効果を測定し、巨大な電場誘起歪み効果を確認した。これは緊急性を持った応用上も重要な発見である為、来年度はこの物質探索部分に重点を置いた研究展開を予定している。
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J. Phys. Soc Jpn. 75 (1)
ページ: 011005, 1-10