研究概要 |
昨年度,スペクトルカメラによる火山の噴気水蒸気の検出可能性を検討した.それを受け,今年度は,水蒸気の定量に必要となるCCDカメラの感度特性試験と液晶フィルタの波長特性試験を実施した.さらに,液体の水を用いて,赤外線の吸収量を波長ごとに実測した.これらの実験は,北海道大学電子科学研究所光計測システム研究室の協力の下で,研究代表者である橋本と連携研究者である京大理の寺田暁彦研究員が行った.2008年3月には,阿蘇山の火口で,赤熱する噴気地のスペクトル撮影を行った.データの解析はこれからであるが,赤熱の温度が精度良く推定できる可能性がある. 2007年6月に,阿蘇山の火口でラマンライダーによる噴気水蒸気測定を行った.連携研究者である京大生存研の中村卓司准教授が,装置をさらに軽量化することに成功し,可搬性・操作性が向上した.噴気のある方向とない方向の水蒸気分布を比較することで,周辺大気の水蒸気と噴気水蒸気とを分離して検出することができた.噴気内の水蒸気分布を定量的に測定したのは世界で初めてである.これと同時に,IIカメラを用いて噴気の上昇速度を測定し,ライダーによる水蒸気濃度分布とあわせてフラックスの見積りを行った.既存の方法による放熱量推定値との比較検討が今後の課題である.阿蘇山でのライダー観測の結果は,中村を筆頭に国内外の関連学会で発表した.現在,国際誌への投稿論文を準備中である. 2007年10月には,北海道登別市の倶多楽大湯沼において,高温の湯沼から蒸発する水蒸気の分布をラマンライダーで面的に測定する実験を行った(中村・橋本).赤外画像による温度分布から推定した水蒸気量分布と整合的な結果を得た.
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