SF40に搭載する自動飛行装置の開発を昨年度に引き続き行った。制御系のトラブルのため、信頼できる装置の開発にはいたらなかった。今後、改良を重ね信頼性の向上に努める。 昨年度製作したSF40模型ヘリコプターの全てのモータ類を磁気シールドフィルムで覆い、機体磁気を可能な限り小さくした。この機体を用い、島根県雲南市の大志戸たたら遺跡において、空中磁場探査を行ない、模型ヘリコプターで空中磁場探査が可能か調べた。調査地域はNW方向70m、NE方向20mで、既に島根県埋蔵文化センターが周辺の樹木を伐採し、たたら遺跡の位置を確認している地域である。SF40に三成分フラックス磁力計をスティンガー方式(機体から2m前方にセンサーを設置)で取り付け、飛行高度を一定に保ち(調査地域の最高点から4m上空)磁場探査を行った。手動で飛行させ、GPSデータと磁気三成分データを磁力計のデータロガに記録させた。その結果、調査地域の北西部で明瞭な磁気異常が観測され、その位置はたたら窯と製鉄屑埋設地と一致した。観測された磁気異常の大きさは500nTで、磁力計の精度は2nTであることから、16m上空でたたら遺跡の探査が可能と思われる。 観測される大きな磁気ノイズは、機体振動や方向変化に起因する。現在のシステムでは、最大出力で直進飛行した時に発生する磁気ノイズは10nTである。調査地域が谷地形でGPS衛星受信数が少ないことは、測位誤差大きくする。今後、完全な自動飛行装置による飛行と機体振動の軽減が行われれば、測定精度はかなり向上すると考えられる。 本研究の成果は12月にサンフランシスコで行われた米国地球物理学連合の学会で報告した。
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