研究概要 |
環境制御型SEMを使用し,エアロゾルの常温条件の湿度特性,低温におけるエアロゾル粒子の湿度特性,氷晶生成実験のための低温サンプルステージおよび観察室の湿度コントロール,について以下のような検討を行った。 1)次のような飛来黄砂粒子の潮解特性,すす粒子の表面付着物質について,熊本県立大環境共生学部との共同研究として継続実施している。 a)低温条件下における氷晶核特性,雲核特性の参照実験として,0℃前後の条件における黄砂の潮解特性について,潮解湿度が硝酸や硫酸による変質によって低下すること,特に硝酸変質粒子では,潮解が相対湿度15%以下ときわめて低い湿度で起こることを明らかにした。この成果は,論文投稿中である。 b)すす粒子には,表面に水溶性物質を付着させているものがあり,その付着物質が主に硫酸塩であること,粒径として内包すす粒子の3倍程度の大きさになる量の物質を付着させていることを明らかにした。この成果は論文投稿中である。 3)氷点下80℃低温微細氷晶生成、成長実験 霜点氷点下80℃のESEMチャンバー内で1μm以下の大きさの氷結晶を生成,10μm程度以上の大きさに成長させ,さらに,温度を上げることで消滅させるまでの観察に成功した。六角柱状の結晶の微細表画構造と成長中の形状と昇華縮小中の形態が異なることを確認できた。 4)試料冷却時の試料台温度の均一性についての検証実験のための温度計測ステージの設計を行った。 5)試料ステージの冷却のための低温窒索空気の導入管の周囲に霜、氷が昇華成長し湿度コントロールを困難にすることがわかった。根本的な対策のための特殊フランジの製作を検討することとした。
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