本研究においては、 ◎小型プラスチック気球あるいは大型ゴム気球で飛揚可能な重量10kg以下の、 ◎上空25kmまでの下部成層圏(低温低圧環境下)で動作可能な±1ppmv以内の精度を有する、大気中の二酸化炭素濃度連続測定装置の開発を行うことを目的として、次の2課題をあげた。 【課題1】小型赤外分析計(二酸化炭素濃度計)への多重反射セルの適用 二酸化炭素による赤外線の吸収特性を利用した非分散型赤外分析計は、低圧下では分圧の低下により感度が下がるため、光路長を長くできる多重反射方式の小型光学セルを開発し、市販の小型二酸化炭素濃度計の光源、ディテクターを利用して、高感度の二酸化炭素濃度計を製作する。 【課題2】測定装置全体の小型・軽量化 二酸化炭素標準ガス容器、ポンプ、流路切替機構、流量・圧力調整器などで構成されるガスハンドリングシステムの部品を重量および低温・低圧特性の観点から精選する。平成19年度においては、課題1に重点的に取り組んだ。平成18年度に試作した多重反射セルを、同じく制作した専用のミニスペースチャンバーにおいて減圧下で動作させ、減圧下でも多重反射セルが感度を有することを確認できた。多重反射の回数を10回とする設計としたが、この回数では、光路が長すぎることが示唆される結果が得られた。反射回数が異なる複数のセルを準備することで、本課題をさらに展開することが可能である。なお、課題2には十分取り組むことができなかった。
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