研究概要 |
本研究では,火星阻石や月起源の隕石の構成鉱物の同定を行い,そこに含まれる鉱物に認められる衝撃組織,焼結組織を記載し,コンドライト隕石の衝撃溶融脈に認められる衝撃組織との違いを明らかにすることを目的にしている. 本年度は,本研究を実施するために,備品としてカーボンコーターを導入した.これによって,走査電子顕微鏡,EPMAの試料の蒸着が迅速簡便に行うことが可能になった.火星隕石(シャゴッタイト)の衝撃波組織の顕微鏡観察,走査電子顕微鏡観察,ラマン分光測定を開始した.さらに透過電子顕微鏡観察用にFIB(収束イオンビームシステム)を用いた隕石試料の加工法の確立を目指した.月火星隕石の衝撃波組織との比較を行うために比較的容易に手に入れることができるコンドライト隕石の衝撃波溶融脈中の衝撃波組織の詳細な記載方法の検討を行った.また,この衝撃波組織について,透過電子顕微鏡観察により,衝撃波による相転移相の組織観察と分析電子顕微鏡による組成分析を試みた.また,コンドライト隕石中のリン酸塩鉱物を用いて,衝撃年代が得られるか否かの予備的測定を広島大学の寺田博士の協力のもとで行なった.以上の実験によって,月・火星隕石の透過顕微鏡観察と微細スケールでの解析分析の方法がほぼ確立できた.
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