本研究の目的は、地質学研究者や自治体職員が単独で火山や峡谷等の危険な地域を調査する時の補助ツールとしてのパーソナルな無人観測飛行機SKY-1を開発することである。 本年度は、実証・展開研究を行った。まず、草津白根火山での実証試験を行った。この試験で、機体3機分の機材を一人で徒歩で山頂まで運べることや、標高2000mを超える高山でも飛行性能に影響が出ないこと、山頂の風や地形においても問題なく運用できることを実証した。また、空撮カメラ、測位装置(GPS)、ガス濃度測定装置などを搭載しての飛行も行い、科学的に意義のあるデータが得られることも確認した。次に、モニタ希望者に対する、SKY-1組立・飛行講習会を開催した。京都大学、熊本大学、桐蔭高校から3組のモニタ希望者が大阪大学に集まり、自分達の機体を製作し、京都模型飛行場にて飛行訓練を行った。参加者は長時間の講習にも耐え、みごと自分の機体を飛行させるに至った。これで、SKY-1を道具として配布するための教育システムの目処が付いた。さらに、SKY-1で長距離運用するためにはGPSによる自動飛行システムが必要であるという将来展望に基づき、GPS航法の基礎研究を行った。試作として、プログラムされた航路を自動走航するロボット船を製作した。性能試験のために、第12回びわ湖クルーレスソーラボート大会先端技術部門に出場し、準優勝することができた。これで、SKY-1の自動操縦化計画にも目処が付いた。今年度は複数の学会で情報交換を行い、SKY-1が火星探査飛行機の搭載観測機器の試験台としても有効であることや、GPSロボット船が、火山湖の研究に役立ちそうであることがわかった。今後は、無人飛行機・無人船の活躍の場をさらに展開させていく予定である。研究の成果はウェブサイトにて公開しており、今後も新たな成果を追加公開していく予定である。
|