研究課題/領域番号 |
18654097
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野津 憲治 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (80101103)
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研究分担者 |
平田 岳史 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (10251612)
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キーワード | 親銅元素 / 銅同位体比(^<65>Cu / ^<63>Cu) / 硫化鉱物 / 質量分析 / LA-MC-ICP-MS / 島弧プロセス / 物質循環 / 同位体効果 |
研究概要 |
これまで天然物中で分析誤差の範囲内で同位体比の変動が認められていなかったCu、Zn、Fe、Sb、Agなど硫化鉱物を作るいわゆる親銅元素について、最近の質量分析の進歩で10^<-6>のオーダーの極めてわずかな同位体比変動が検出できるようになった。本研究は、親銅元素の中でも銅の同位体比(^<65>Cu/^<63>Cu)が島弧プロセスに寄与する色々な物質ごとに変動している可能性に着目して、島弧域で起きている物質循環の解明のパラメータとして測定する極めて斬新な研究である。 島弧火山岩中の硫化物は通常数10μ以下であるため、分離して酸溶解し溶液で質量分析することが難しく、レーザー照射による局所質量分析が必要になる。そのため硫化物を直接LA-MC-ICP-MSで分析する方法の確立を図らねばならない。本年度はまず、天然に鉱床として産出する輝銅鉱(Cu_2S)、黄銅鉱(CuFeS_2)、自然銅(Cu)の大きな結晶を溶液化して、MC-ICP-MSで^<65>Cu/^<63>Cuを精密定量する方法を確立した。その結果、Znを内標準として加えて同位体分析すると精度よく安定したデータが得られることが分かった。さらに、同一試料を非破壊の状態でLA-MC-ICP-MSで測定する方法を確立した。溶液から得られた同位体比とレーザー気化による同位体比とを較べたところ、黄銅鉱では0.1‰精度で一致していたが、輝銅鉱ではあわず、試料によってはレーザー気化の際に同位体効果が起きている可能性があり、現在検討中である。
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