研究概要 |
新奇発光場として期待されるシリコン内包カーボンナノチューブの創製を目的として, 本年度はSiナノ粒子の形成効率向上を目指し, 溶液中および高気圧中のレーザーアブレーションプラズマを用いてシリコンナノ粒子の形成実験を行い, さらにカーボンナノチューブへの照射により内包を試みた. 1. アルゴンガス雰囲気下でのレーザーアブレーションによってシリコンプラズマを生成し, シリコンターゲットから10mm離れた基板上に堆積した物質を解析したところ, シリコン原子数が1〜15個程度で構成されるシリコンナノ粒子が形成されていることが明らかとなった. 2. 高いアルゴンガス圧力の下でレーザーアブレーションを行うことにより, 蛍光特性を有するシリコンナノ粒子を形成できることを明らかにした. 蛍光波長は約600nmであり, この蛍光強度は, Arガス圧力が500Pa程度で形成されたナノ粒子において最大となることが分かった. 3. 高いガス圧力の下でレーザーアブレーションにより形成したシリコンナノ粒子を, プラズマイオン照射法により単層カーボンナノチューブに照射し, 透過型電子顕微鏡により観察を行った. その結果, 単層カーボンナノチューブの内壁に沿ってシリコンと考えられる物質が存在していることが観測され, 本手法によってシリコンを内包したカーボンナノチューブを形成できることを実証した.
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