研究概要 |
アセタールとイソシアニドを反応させるとアセタール炭素-酸素間にイソシアニドが挿入したα-アルコキシエステル誘導体が高収率で生成することを見出した。触媒としてはルイス酸だけではなく、ブレンステッド酸も活性を示したが、トリフルオロスルホン酸がもっとも高い触媒活性を示した。イソシアニドとしては、2位と6位に臭素を持つ2,6-プロモフェニルイソシアニドがもっとも効率的であった。2,6-キシリルイソシアニドでも反応は進行するが、イソシアニドが2分子挿入した生成物も得られた。アルキルイソシアニドでは、イソシアニドが2分子挿入し、そのうち1つのアルキル基が脱離した型の生成物が選択的に得られた。様々な構造をもつイソシアニドの検討から、挿入反応には、芳香族イソシアニドでかつ電子求引性と立体障害の両方が必要であることがわかった。本反応は、ひじょうに広い範囲の基質に適用することができる。アセタールだけでなく、ケタールも反応する。脂肪族のアセタールやケタールだけでなく、芳香族アセタールやケタールも用いることができる。さらに、THPエーテルやTHFエーテルにも適用できる。さらには、N, O-アセタールにも展開できることがわかった。官能基許容性も高く、チオフェン環、インドール環、エステル、シアノ、さらにはニトロ基があっても対応する生成物を与えることがわかった。アルデヒドからアセタール化、イシシアニドの挿入、加水分解をワンポットで行うこともでき、アルデヒドからα-アルコキシエステルを合成することができる。
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