研究課題
巨大クラスターポリオキソカチオンの探索を目的として、ビルディングブロック組み合わせによる合成とワンポット合成の2つの方法で合成を試みた。まず、ビルディングブロックとなる[Al_<13>O_4(OH)_<24>(OH_2)_<12>]^<7+>硫酸塩の構造が正確に求められていなかったことから、その結晶について単結晶X線回折により構造を決定した。その結果、ポリカチオン表面のプロトンと、硫酸イオンの酸素原子との間に水素結合が形成され、それが結晶構造の安定化に寄与していることが明らかとなった。一方、ワンポット合成法の探索の過程で、新規なアルミニウム32量体ポリカチオン硫酸塩のナトリウムおよびカリウムとの複塩の合成に成功した。従来知られていたアルミニウムのポリカチオンは、8量体、13量体および30量体のみであり、32量体の存在が明らかとなったのは本研究がはじめてである。32量体の構造は、従来知られている30量体の構造の中央部にさらに2個のアルミニウムが付加して構造が拡張されている。さらにそのアルミニウム原子に対アニオンの硫酸イオンの酸素原子が直接配位している。このような硫酸イオンのアルミニウム原子への直接の配位は、従来のアルミニウムのポリカチオンには見られなかったもので、この化合物の際立った特徴である。このようなアルミニウム原子がむき出しになったポリカチオンは、多座配位子と組み合わせることにより、より大きな構造のビルディングブロックとなることが期待される。
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