研究概要 |
1-アリール-2-プロピニルのカルボン酸エステルを塩化白金錯体触媒の存在下反応させると、インデン誘導体が生成することを明らかにした。また、エステルのアリール基の3,4位の電子供与性置換基が生成物の選択性と収率に大きく影響することを明らかにし、反応が双性イオン型中間体の異性化を経て進行することをつきとめた。さらに、2-アリール-3-ブチニルのカルボン酸エステルからは、二級の場合と比較して極めて容易にインデンを与えることを見出した。また、1,1-ジアリール-3-プロピニルのカルボン酸エステルからも、インデンが生成するが、使用する触媒によって二重結合の位置が異なった。この生成物間の異性化がないことを示す実験により、金属によってインデン生成の機構が異なることを示した。この他、アルキン末端水素およびアリール基の5つの水素を重水素化した基質を用いて反応を行い、生成物におけるその重水素の分布からインデン生成の機構が、カルベン中心の芳香族親電子置換型反応および電子環状反応によるメタラシクロヘキサジエンを経る2種類に分類できることを明らかにした。
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