研究課題/領域番号 |
18655047
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高田 晃彦 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (20254427)
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研究分担者 |
山岸 忠明 金沢大学, 自然科学研究科, 准教授 (90220251)
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キーワード | セルロース誘導体 / コレステリック液晶 / 高分子ブレンド / シリカハイフリッド / 不斉構造形成 / 不正分離 |
研究概要 |
本研究では、セルロース分子が持つ不斉性を、螺旋型の液晶形成を行うことにより、液晶構造自体に系全体としての不斉性を持たせることにより、分子としての不斉性の利用だけではなう、集合構造としての不斉性を発現させ、その液晶構造制御による不斉性制御ならびに、その固定化することにより、不斉分離などを機能発現と制御を行うことを試みた。構造の固定化ならびに構造制御を行う手法として、合成高分子とのブレンド形成ならびに、ゾルゲル法によるシラノール化合物とセルロース誘導体とのハイブリッド形成を用いた。一般に、高分子同士のブレンドでは、エントロピー的エネルギー安定化の寄与が非常に小さい。そこで、水素結合などの分子間引力相互作用が生じる可能性がある系についてのブレンドの可能性について検討してみた。その中で、アセトキシプロピルセルロースと合成高分子ポリビニルアセテート(PVAc)のブレンドを検討した系では、非常に広い範囲で、均一ブレンドを形成することがわかった。その液晶構造の観察を行ったところ、PVAcの添加により、液晶ヘリックスのピッチが、大きく変化し、合成高分子とのブレンドにより液晶構造制御ができることを明らかとした。そのガラス温度は室温付近であり、室温での不正分離などを効率的に行うことができなかった。一方、アルコキシシランを用いヒロドロキシプロピルセルロースとのハイブリッド形成を試みたところ、セルロース誘導体濃度約30%以上の領域で、旋光性を持った均一セルロース/シリカハイブリッド化合物の形成を行うことができた。このうち、セルロース含率が50%の試料を用いて、カリックスアレーン化合物を用いたところ、カラム充填を行った試料形態が5mm四方の薄片であったにもかかわらず、立体異性に伴う分離が可能であることが明らかとなった。今後、充填試料の形態の改善やハイブリッド形成に用いる化合物の検討を重ねることにより、効率的な分離能を達成できるにちがいない。
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