研究課題
我々は最近、低温(4K)でNd_<1-x>Sr_xMnO_3薄膜に可視光(532nm)を照射すると、磁化が大幅に増大するという興味ある現象を見出した。本現象は、i)磁化の増大する割合はSr組成xに依存し、x〜0.43付近で最大となる。ii)光照射時間に比例して磁化が増大するが、光照射を停止しても、一旦増大した磁化は減少せず保持される、という特徴を持つ。本研究では、上記光-磁気変換現象のメカニズムを解明し、光記憶材料としての可能性を追求することを目的としている。平成18年度にはまず、ナノスケールの磁区構造を直接観測するためのツールとして、超高真空・温度可変型・磁気力顕微鏡(MFM)を開発した。同装置は、i)AFM(トポ像)とMFM(磁気像)の同時計測が可能である、ii)3000Oeまでの磁場を印加でき、その方向を任意に設定できる、iii)5K〜室温の範囲で温度可変である、などの特徴を有する。室温、7Kでの最大走査範囲は、それぞれ8μm、2μm四方である。また、抵抗検知型の高感度カンチレバーを採用しており、MFMとしての磁場の空間分解能は、約30nmと見積もられる。さらに、局所的な導電性を評価するプローブとして、低温型マイクロ波顕微鏡を完成させた。まずMFM装置を用いて、垂直磁気ハードディスクの観察を行った結果、明瞭な円形の磁気ビット像を得た。続いて、液体窒素温度にてNd_<1-x>Sr_xMnO_3系薄膜のMFM観察を行い、500nm程度の磁区構造を観測することに始めて成功した。
すべて 2006
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Applied Surface Science 252
ページ: 2615-2621