Nd1-xSrxMnO3はx<0.5で強磁性(FM)、x>0.5で反強磁性(AFM)を示す。そこで、PLD法により同薄膜を合成し、光-磁気変換現象について検討した。その結果、強磁性領域では、明瞭な光-磁気変換効果が観測された。光を遮断しても磁化が保持されることから、高温安定相である常磁性相、あるいは隣接する反強磁性相が微細なドメインとして存在し、これが光により最安定な強磁性相に転移したものと結論した。 一方、反強磁性領域(x>0.5)でも、走査SQUID観察から自発磁化が観測された。これは、反強磁性モーメントのキャンティング、あるいは強磁性微粒子の分散によるものと考えられる。ここに紫外光を照射すると、強磁性相同様、磁化の増大とメモリ効果が観測された。いずれも場合も、光により磁化は増大したものの、走査SQUIDの分解能(〜数μm)の範囲では、磁区パターンに変化は見られなかった。従って、強磁性ドメインのサイズは、nmスケールであると予想される。 磁性の変化とともに導電性も変化することが考えられたため、まずマイクロ波顕微鏡を用いて薄膜の局所的な導電性を評価する方法を開発した。測定試料と同じ基板上に同じ膜厚の組成傾斜ニオブ添加二酸化チタン薄膜を合成し、これを標準試料として用いることで、マイクロ波キャビティのQ値シフトから、対象とする薄膜の導電率を定量評価した。この手法をMn系材料に応用したが、光による導電性の変化は観測されなかった。
|