1.新しい合成法を開発し、金ナノリング(外径約70nm)を創製した。すなわち、まずカチオン性界面活性剤保護した銀のコイン型ナノ構造を合成し、塩化金酸を用いた金属交換酸化還元反応を対アニオン組成制御下で終点制御して行う方法である。ただし、リングの内部に構造が残存する場合が頻出した。これを再現性よく防止することが課題として残っている。 2.金ナノリングの合成の過程を、吸収スペクトルにより追跡するとともに、電界放射走査型電子顕微鏡(FE-SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、プラズモン共鳴モードとナノ形状との関係に関して多くの新しい知見が得られた。このデータは、光電子機能の可変制御に直結するため重要である。 3.種々の粒径の金ナノ粒子をITO電極上に固定化し、様々な電気化学および分光電気化学測定を行った結果、1つの粒子あたりの電子の出入りの個数、充放電の速度を定量化することができた。特に、金ナノ粒子の積分容量だけでなく、界面微分容量の電位依存性を初めて明らかにした成果は重要であり、少なくとも粒径3.7nm以上の粒子では充放電が二重層充電としてのみ起こっており、かつ単位面積当たりの容量は粒径に依存しないことが実証された。 4.電極の近傍に空間位置を制御して金ナノ構造体を配置したときの、二重層電場の特異な三次元分布が酸化還元反応や分子の光電子機能に与える効果を解明するための試みを広範に進め、モデル計算との対応付けをするために要請される界面構造の設計指針をリストアップすることができた。
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