研究概要 |
青森県内で排出される植物由来の夫利用盗源から得た木酢液にカルボン酸が含有されることに注目し,さらに同じく県内未利用資源であるホタテ貝殻の有効利用を合わせて考え,両者の反応によりカルボン酸カルシウムを得,環境負荷の低い融雪・消雪剤への応用を試みた。 このようにして得られる低コストのカルボン酸カルシウムは,現在もっぱら使用されている塩素系の融雪・消雪剤に替わる非塩素系の魅力的な製品開発に繋がるものと考えられる。 本年実施した実験は以下のようである。 1 木酢液からエーテルを用いてカルボン酸類を柚出分離する条件をいくつか検討した.その結果,数行程の分離作業の内の一つにおいて液のpHを7.8程度にすることで,収率を4%に高めることに成功した。 2 中和滴定法によりカルボン酸類の酸度を決定(全て酢酸と仮定)した上で,ホタテ貝殻粉末との反応比を決定した。実際の反応比はほぼ理論値通り,カルボン酸:酸化カルシウム=2:1であった。 3 融雪試験と消雪試験を行ったところ,良好な結果が得られた。 4 雪後の面に褐色の残渣が残るので,これを取り除く方法を検討した。活性炭を用いて数回ろ過を繰り返すことでこれを解決した。 5 現在抽出行程の小型プラント化を計画中,本年度稼働にこぎ着ける予定である。 6 実験室においては今後さらにカルボン酸回収率の向上のための条件を検討する。
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