研究課題/領域番号 |
18655067
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古山 種俊 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20089808)
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研究分担者 |
野池 基義 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (20420010)
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キーワード | フリップ-フロップ / 糖キャリアリピド / ウンデカプレニルリン酸 / ドリコール / ペプチドグリカン生合成 |
研究概要 |
真正細菌のペプチドグリカン層、リポ多糖などの糖鎖生合成機構では、糖キャリア脂質と呼ばれる長鎖イソプレノイドが、糖の輸送体として重要な役割を担っている。この輸送に伴って糖キャリア脂質が、基本骨格となる糖鎖と結合した状態で脂質二重層間の移動(フリップ・フロップ)を行い、膜の反対側で糖鎖合成が完成する。また、糖鎖を提供した糖キャリア脂質は再びフリップ・フロップしてリサイクルされると考えられている。この段階のフリップ・フロップの基質であるウンデカプレニルリン酸を蛍光標識したプローブの合成に成功し、このプローブと枯草菌Bacillus subtilisの細胞膜を利用したクエンチングアッセイにより内側に取り込まれたプローブの蛍光強度から蛍光プローブの取り込み活性を評価した。プロテアーゼ処理を行うとプローブの取り込みが低下し、また、プロテアーゼ阻害薬を入れるとその低下が回復した。このことから、このプローブの取り込み過程には蛋白質が関与していることが示唆される。 ウンデカプレニルリン酸リサイクル過程には今のところ、脱リン酸化された後アルコールの形で単純拡散によってリサイクルされるという説と、一般にフリッパーゼと呼ばれるような蛋白質によってリン酸基が結合したままでリサイクルされるという説の二つがあるが、本研究は後者の説を支持するものと考えられる。 細菌の細胞壁生合成機構、特にペプチドグリカン層の生合成機構は細菌が生存するために重要であり、いくつかの抗菌薬の標的となっている。そのため、この機構の詳細な解明は新規抗菌薬開発の足がかりになると考えられる。
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