研究概要 |
最近,液晶モノマーを干渉光により重合することにより,干渉パターンに応じて複雑な分子配向が誘起されることを偶然見いだした。本研究では,この現象を解き明かし,分子配向を複雑かつ高度に制御した液晶高分子フィルムを作製する。近年開発が著しく今後益々の発展が見込まれる,液晶ディスプレイの基幹材料である位相差板・視野角増大フィルムや,DVDなどの光情報記録デバイスに用いられる光ピックアップへの展開の可能性を探る。 本年度では,前年度に引き続きモノマー構造および重合開始剤の影響を検討し最適な重合条件を探るとともに,得られた高分子フィルムの熱物性および光物性評価を調べ液晶配向膜や位相差板などの光素子への応用について検討した。 1.モノマー構造および光重合開始剤の影響 光学系の配置を工夫し試料を水平に設置することにより,従来の垂直に設置した条件と比較して分子配向性の高いフィルムの作製を検討した。また,紫外光重合開始剤を用いることにより配向秩序度0.22の異方性ドメインを有するフィルムの作製に成功した。 2.フィルムの熱物性および光物性評価 DSCおよびTG/DTA測定により,得られたフィルムの液晶性および熱安定性を評価するとともに,偏光顕微鏡を用いて位相差,分子配向性,周期性などについて詳細に調べた。100℃程度まで配向が安定に保持されることが明らかとなった。 3.液晶配向膜への応用 分子配向フィルムを基板とした,ラビングレス液晶配向膜への応用を検討する。低分子液晶をフィルム上に滴下し,液晶が配向することがわかった。
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