研究課題/領域番号 |
18655089
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
國府田 悦男 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 教授 (40124648)
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研究分担者 |
小川 和義 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 助手 (60375433)
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キーワード | ナノゲル微粒子 / 高分子包括固定 / グラフト共重合体 / ブロック共重合体 / 光散乱実験 / ナノゲル間複合体形成 / タンパク質分離・回収 / 糸状菌の固定化 |
研究概要 |
本研究の目的は、通常の溶液重合と同等の操作で、水可溶性グラフト又はブロック共重合体と同じ物性を持つ高分子包括ナノ架橋体(PENG)を多量・安価に合成するための方法を確立することである。そのために、(i)中性高分子であるpoly(ethylene glycol)(PEG)を選び、高分子網目を形成させるためのビニルモノマーとしては、acrylic acid(AAc)を選んだ系、(ii)熱応答性中性高分子であるpoly(vinyl methyl ether)(PVME)をイオン化するための方法としてから形成される高分子網目(ナノゲル微粒子)へ包括固定する実験を試みた。さらに、そのための基礎的知識を得るために、反対符号を持つナノゲル微粒子間の複合体形成およびその形状を光散乱法を用いて研究するとともに、本研究で合成を目的とするPENGの応用を意識した先導研究をしてタンパク質や糸状菌の固定化に関する研究も併せて行った。その結果、約70%以上の収率で目的とするPENGが得られ、且つ上述の様な応用にも利用できる可能性が示唆された。すなわち、PEG/AAc系のPENGは弱酸性の条件下で急速の相分離をおこし、その特性を利用してタンパク質の分離・回収や糸状菌の固定化ができると判断された。他方、PVME/AAc系のPENGは、pH条件に関係なく、33℃以上の温度で相分離を起こし、温度変化のみでタンパク質の分離・回収が出来ることが分かった。以上の成果のうち、PENGの合成と物性にかかわる内容は、特許・論文の両者(又は論文)として公表する予定であり、応用に係わる基礎研究の成果は、8編の論文にまとめられた。
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