研究課題/領域番号 |
18656002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宇田 聡 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90361170)
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研究分担者 |
黄 新明 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (80375104)
黄 晋二 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50323663)
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キーワード | ニオブ酸リチウム / 結晶成長 / 結晶工学 / バルク単結晶 / 相平衡 / 外部電場 |
研究概要 |
[研究の目的]ニオブ酸リチウム(LiNbO_3、以後LNと略す)は、優れた圧電体、2次非線形光学材料として重要な結晶である。LNは、化学量論組成と一致溶融組成が異なるという特徴的な相図を持ち、これまでは、結晶育成が容易である一致溶融組成の結晶が広く用いられてきた。近年、化学量論組成LNが、光学的により優れた性質を示すことが報告された。化学量論組成LN結晶は、2重ルツボ法などを用いた手法で育成されているが、この育成は不安定な組成点で行われるため、わずかな温度変動等によって結晶組成が変動するという問題がある。我々は、これまでに、外部電場印加によって相図を変調することが可能であることを示している。本研究では、この外部電場印加技術を用いて、LNの化学量論組成を一致溶融組成点へと変調し、優れた性質を持つLN結晶を容易に育成する技術の確立を目標としている。 [研究の成果]外部電場印加について検討する前段階として、LN成長界面に存在する内部電場についての検討を行った。LNなどの酸化物材料の融液内には複数のイオン種が存在し、そのイオン性により、成長界面近傍にはゼーベック効果による電場と結晶化起電力による電場が存在する。本研究では、マイクロ引き下げ成長法を用いて、LN結晶成長界面近傍の内部電場を詳細に測定し、特に、界面に発生する結晶化起電力及びイオン種の分配について調べた。実験及び理論解析を通して、この結晶化起電力は、1でない平衡分配係数を持つ各イオン種の界面偏析の結果形成される正味のイオン電荷分布によるものであると分かった。また、共晶点組成ではギブスの相律によって結晶化起電力がゼロとなること、化学量論組成と一致溶融組成が一致する相図を持つ四ホウ酸リチウムでは、液相内のイオン種を含めたすべての化学種について、平衡分配係数が1となることも見出している。
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