酸素プラズマ援用分子線エピタキシ法を用いて周期分極反転酸化亜鉛(ZnO)薄膜の作製および評価を行った。サファイア(0001)基板上に直接成長したZnOはO極性の(000-1)面となるが、厚さ3nm以上のMgO(111)バッファ層を挟んで成長したZnOはZn極性の(0001)面となる。これを利用して、サファイア(0001)基板上にMgO(111)バッファ層を成長したあと、フォトリソグラフィーを用いて周期的にMgOバッファ層をエッチングし、MgOバッファ層の有無による面内周期構造を持つ基板を作製した後、ZnO薄膜を成長することでZnOの周期分極反転構造を得ることが出来た。この方法で非常に周期の揃った周期分極反転ZnO薄膜が得られることを顕微鏡で確認した。これまでに分極反転周期500nmから60μmにわたって作製することに成功している。これらの分極ドメイン構造は2インチc面サファイア基板上に均質に作製された。走査型プローブ顕微鏡により、圧電応答を評価し、ドメイン界面でわずかなアンチフェーズドメインの形成を確認した。また、チタンサファイアレーザーを基本波とした垂直透過による第二高調波発生(SHG)測定を行った。周期分極反転構造をもつZnO薄膜では通常のZnO薄膜と比較してSHGが強く、異方的なSHG増強も観測された。Zn極性ドメインとO極性ドメインでは成膜速度が異なることからグレーティングが形成される。周期500nmの周期分極反転ZnO薄膜からレーザーの回折光が観測され、周期分極反転によりフォトニック結晶が形成されたことを示している。
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