研究概要 |
近年,ナノスケールの構造体(ナノ構造体)の創製が盛んに行われている.ナノ構造体は比表面積が大きく反応性が高くなるため保存・輸送が難しいという短所を持つ.この短所を克服する方法として,中空孔構造を持ったナノ粒子(ナノカプセル)が,内部の物質を外界に晒すことなく化学反応性の高い材料でも保存・輸送可能であるため,材料工学分野だけでなく,医学・薬学をはじめとする生化学分野で注目されている.本研究では,申請者が開発したナノ粒子サイズ制御法を応用して,サイズを数nmから数百nmの範囲で自在に制御できるナノカプセルの作製法と金属クラスタ内包ナノカプセルの作製法の開発を目的としている.本年度は以下の成果を得た. 1.パルス放電法を用いて,サイズ1.6nm,サイズ分散0.5nmの結晶シリコンナノ粒子の作製に成功した. 2.結晶シリコンナノ粒子の大量生成のため,マルチホロー放電法を用いて,サイズ2nm,サイズ分散0.5nmの結晶シリコンナノ粒子の作製に成功した. 3. 200keVの電子線をナノ粒子に照射して,ナノ粒子の空孔化のその場TEM観察を行った所,我々の用いた作製法で作製したナノ粒子が数秒から10分間で多数の粒子が空孔化した.空孔化の過程は以下の通り.(1)電子線照射後ナノ粒子内部で小さな空洞(小胞)が形成される.(2)ナノ粒子内部が小胞で埋め尽くされる.(3)小胞同士が結合し成長する.(4)ナノ粒子が空洞化する.
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