研究概要 |
近年、ナノスケールの構造体(ナノ構造体)の創製が盛んに行われている。ナノ構造体は比表面積が大きく反応性が高くなるため保存・輸送が難しいという短所を持つ。この短所を克服する方法として、中空孔構造を持ったナノ粒子(ナノカプセル)が、内部の物質を外界に晒すことなく化学反応性の高い材料でも保存・輸送可能であるため、材料工学分野だけでなく、医学・薬学をはじめとする生化学分野で注目されている。本研究では、申請者が開発したナノ粒子サイズ制御法を応用して、サイズを数nmから数百nmの範囲で自在に制御できるナノカプセルの作製法と金属クラスタ内包ナノカプセルの作製法の開発を目的としている。本年度は以下の成果を得た。 1.金属クラスタ内包ナノカプセルの作製法として、ナノカプセルを金属粒子に衝突させる方法が考えられる、この方法の場合、ナノカプセルを生成領域から高速に輸送させる、標的に衝突させる必要がある。本年度は、反応性プラズマを用いて作製したナノ粒子を、生成領域であるプラズマ/シース領域から高速に輸送させるために重要なベラメータを明らかにした。 2.パルス放電で作製したナノ粒子は、7cm/s程度の速度で放電領域から放射状に輸送される。一方パルス放電を振幅変調することで、輸送速度は60cm/s程度まで急速に輸送されることが明らかになった。 3.高速輸送は変調時間、変調度に依存し、長い変調時間、大きい変調度でナノ粒子は高速輸送され,輸送条件を詳細に調べたところ、ナノ粒子は部分帯電であってもナノ粒子全体が輸送されることが明らかになった。 4.高速輸送はイオン抗力によるものであると考えられる。
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