研究課題
実問題で生じている重要な逆問題では、種々の現象とそれらを支配する原理が複雑に絡みあい連成している、いわゆるマルチフィジックスを扱わなければならないことが少なくない。また、高精度・高感度の応答を得ようとすると複数の現象が複雑に絡みあった問題を取り扱う必要性がある。本研究の目的は、問題を非連成化し、数理解析を援用することにより、複雑な現象においても見通しの明確な、マルチフィジックス逆問題に対する数理解析援用逆問題解析手法の構築を行い、その指針を明らかにすることにある。この手法にかかわる具体例として、高温流体誘起熱応力にかかわる逆問題を取り上げた。また、温度計測情報やひずみ計測結果から熱伝達係数を推定する逆問題を取り扱った。得られた結果は以下の通りである。(1)高温流体がパイプに流入するときに誘起される過渡的熱応力を低減する最適化問題では、熱伝導、熱伝達、弾性変形、流体流動が絡みあっている。この問題を、非定常温度分布解析、過渡的熱応力解析、過渡的熱応力を最小にするパイプ内面温度履歴の最適化計算、内面熱流束の計算、流体温度の決定に分解し、効率的な数理解析援用逆問題解析手法を構築した。(2)パイプが長手方向に十分長く、厚さが内半径に対して十分小さい薄肉パイプに対して、稼動時および停止時に生じる熱応力を最小化する逆問題を、温度と熱応力の数理解析結果を用いて解いた。(3)数理解析と並行して、有限要素解析を実施し、両者がよく一致することを確認した。厚肉パイプについて熱応力低減に関する最適化解析を行い、内外径比の影響を明らかにした。(4)計測が困難な熱伝達係数を、温度計測結果をもとに推定する手法を構築し、手法の有功性と計測誤差に対するロバスト性を確認した。
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日本機械学会関西支部第82期定時総会講演会講演論文集 No.074-1(印刷中)
日本機械学会関西学生会 卒業研究発表講演会講演前刷集 (印刷中)
CD-ROM Proceedings of ASME PVP2006-ICPVT-11
計算工学講演会論文集 11-2
ページ: 827-830
日本機械学会2006年度年次大会講演論文集 No.06-1, Vol.1
ページ: 103-104
日本機械学会第19回計算力学講演会講演論文集 No.06-9
ページ: 427-428