研究課題
平成18年度は、当初の計画通りに電圧立ち上がり時間2ns及び最大電圧値3kV、可変のパルス時間幅を有するパルス電圧を現有の倒立顕微鏡ステージ上へ取り出すためのDual Marx Generatorを製作するとともに、追加研究として電極間へのMV/cmを超える高電界印加により形成される水中パルスストリーマ放電のアオコに対する影響を実証したので、以下にその詳細を示す。Dual Marx Generatorの出力を倒立顕微鏡のステージ上へ取り出すことを目的とし、より低インダクタンスの伝送線路を考案し、その線路へ合わせた形へ既存のDual Marx Generatorの回路レイアウトを見直し、製作した。これにより、倒立顕微鏡のステージ上にて電圧立ち上がり時間2ns及び最大電圧値3kV、可変のパルス時間幅を有するパルス電圧を電極へ印加可能となった。また、MV/cmを超える電界を電極間へ印加した場合に形成される水中パルスストリーマ放電の植物細胞に対する影響を考察するために、夏のダム湖や湖沼等にて悪臭や景観問題を引き起こすアオコをモデル植物細胞として採用した。実験は、アオコの滞在するダム湖からのサンプル水を点対円筒型の放電電極へ封入し、電極間へ電圧最大値160kV、パルス時間幅2.5μsを有するパルス電圧を印加することで、水中パルスストリーマ放電を形成して実施した。その結果、電極へ封入したサンプル水中のアオコは1回の水中パルスストリーマ放電処理にて全て電極下部へ沈降することが明らかとなった。なお、この現象に関する考察のために、水中パルスストリーマ放電処理の前後に採取したアオコの光学顕微鏡並びに透過型電子顕微鏡(TEM)による観測をおこなった。光学顕微鏡及び低倍率TEM観測の結果より、水中パルスストリーマ放電処理の前後にてアオコの細胞内容物の一種であるガス泡が破壊されていることが明らかになるとともに、高倍率TEM観測の結果より、水中パルスストリーマ放電処理の前後におけるガス泡以外のアオコの細胞内容物や細胞膜等の細胞外郭膜の破壊は一切無いことが明らかとなった。
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