研究課題
電子線描画とNEMSプロセスを組み合わせることで、厚さ・幅が約50nmのサスペンデッド細線チャネル上に、電子・フォノン閉じ込めのためナノキャビティ構造を作製するプロセスを開発した。具体的には、高濃度ドープの極薄SOI基板に、電子線描画と異方性ドライエッチングによりナノブリッジチャネルと、単一および多重キャビティ構造、さらにサイドゲートをパターニングした後、ウェットエッチングによりブリッジ下の酸化膜を除去し、シリコンナノブリッジ上にサスペンデッドフォノンキャビティを形成した。このナノナノキャビティ素子を流れる電流のサイドゲート電圧依存性を、4.2K〜室温領域で評価した結果、明瞭なクーロン電流振動が200K程度の高温まで観測されることを見出した。また、第一原理計算プログラムSIESTAとフォノン解析プログラムVIBRAを組み合わせることで、シリコンナノ構造中でのフォノン(ナノフォノン)の状態解明を試みた。ターゲットとして、極薄Si層が酸化膜に挟まれたアコースティックヘテロ構造を取り上げ、東工大のグリッドコンピュータTSUBAMEを用いた大規模並列計算を行うことで、この超構造を構成するブロックとなるSiO_2(α-cristobalite)と、Si極薄膜におけるフォノン分散関係の計算を行った。その結果、Si極薄膜構造では、(1)[110]方向においてフォノンバンドギャップが形成されること、(2)Γ点付近での音響フォノンのソフトニングが現れること、(3)音響フォノンの最も下のブランチがkの2次に比例していること、が見出された。計算結果を詳細に分析した結果、(1)のフォノンバンドギャップは薄膜表面に構成されたシリコンダイマー周期構造に起因していることを解明し。また、(2)と(3)については超薄膜の振動に対する表面効果に起因していることを明らかにした。
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