研究課題/領域番号 |
18656097
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
福永 博俊 長崎大学, 工学部, 教授 (10136533)
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研究分担者 |
中野 正基 長崎大学, 工学部, 准教授 (20274623)
柳井 武志 長崎大学, 工学部, 助教 (30404239)
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キーワード | 磁性 / ナノ材料 / 電気・電子材料 / 複合材料・物性 |
研究概要 |
昨年度の研究において、材料を構成する結晶粒の磁化容易軸が等方的に分布したTerfenol-D[(Tb_<0.3>Dy_<0.7>)Fe_2]について、マイクロマグネティクス理論に基づく計算機シミュレーションにより、その結晶粒径と磁歪及び軟磁気特性を計算し、結晶粒径が限界値より小さくなると,軟磁性が著しく改善され、低磁界で大きな磁歪変化が生じることを明らかにした。この原因を明らかにするために、等方性磁歪を有する結晶からなる磁歪材料を仮定し、磁気ひずみエネルギーと磁歪定数、軟磁性の関係を解析的に検討した。この結果、以下の軟磁性発現のメカニズムが明らかになった。磁歪材料を構成する結晶粒ごとの磁化方向に分散が生じると磁歪エネルギーが増加する。このため、磁歪エネルギーの増加を抑制するため、各結晶粒の磁化方向が特定の方向に揃う効果が発生する。磁歪値の増加と共にこの効果が顕著になり、磁気異方性に打ち勝って各結晶粒の磁化が一方向に揃う。磁化方向が揃うことにより磁気異方性の平均化現象が生じ、結晶粒径の減少と同様に、超軟磁性が実現される。 各結晶が異方的な磁歪特性を有する材料においても同様な現象が起こることを確認するために、Terfenol-Dの物性定数を仮定して、磁気異方性エネルギー及び磁歪エネルギーの大きさと軟磁性の関係を数値解析した。この結果、各結晶粒の磁歪特性が異方的な材料においても、磁歪エネルギーが磁気異方性エネルギーを上回る条件が達成されたときに、軟磁性の著しい改善が達成されることが確認された。 上記の結果を実験的に確認するために、超急冷Fe-Ga薄帯について、熱処理条件を変化させて磁歪特性を調べて。その結果、λs=1000ppm、Hc=2kA/m が得られた。
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