デバイス設計の自由度を向上させる構造を有する縦型トランジスタに関する研究として、今年度は、以下の研究を実施し、当該縦型トランジスタの基本特性を取得した。 (1)本研究予算にて、キャリア等の動きを離散的に取り扱うことができ、且つ、デバイス特性・デバイス動作状態を決定する物理量を直接的且つ精度よく取り扱うことができるモンテカルロ法に基づくデバイスシミュレーションシステムを構築した。具体的には、本研究で解析する埋め込みゲート縦型トランジスタのチャネル構造は、3次元的に立体的な構造になっており、そこを流れるキャリアの振る舞いは非常に複雑であることが予想され、さらに、ナノスケールサイズにまで微細化されたデバイス中を流れるキャリアは、もはや連続流体として取り扱うことはできない。この点に着目して、研究代表者が研究してきたFB-SGTを、上記モンテカルロデバイスシミュレーションシステムにて解析し、その解析結果を、研究代表者が今まで豊富に蓄積してきた多くの実測結果や計算結果と比較検討することで、当該モンテカルロデバイスシミュレーションシステムを構築した。これにより、計算機実験であるシミュレーション結果が、実際のデバイスの挙動を正しく再現できることが可能となり、これにより、計算機実験に立脚した研究手法でありながら、今後の研究成果の精度・確度を著しく向上することが可能となり、大きな研究の進展ができた。 (2)上記本研究で開発したモンテカルロデバイスシミュレーションシステムを用いて、当該埋め込みゲート縦型トランジスタのしきい値、駆動電流特性、カットオフ特性などの基本的なトランジスタ特性を定量的に取得した。特に、チャネル部のシリコン柱の直径(RB)、ゲート絶縁膜の膜厚、チャネル長等に対する依存性を解明した。
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