研究概要 |
18年度は初年度であるので,まずは研究目的で述べた3つの問題に関して,その基礎的な観点から研究を実施した.その進捗状況は,つぎのとおりである. 問題A:一般に遺伝子ネットワークの非線形モデルは高次であるため,後の可制御性解析のためには,低次元化された区分的アファインモデルの方が望ましい.そこで,ルベーグ積分のアイデアを用いて,区分的アファインモデルを効率よく導出する方法を構築した,また,有効性を簡単な遺伝子発現ネットワークに適用して確認した.この研究成果は制御の最も重要な国際会議で,12月に開催されたIEEE Conference on Decision and Controlにおいて発表済みである. 現在,本研究成果を国際論文誌に投稿するべく準備中である. 問題B:研究代表者らが最近提案してきた,区分的アファインシステムに対して可制御な初期集合を確率的に求める手法を拡張し,サンプルしたモード系列ごとに可制御な初期値集合を特徴づけ,それを重ね合わせることで確率的に保証された可制御な初期値集合を求める手法を開発した.さらに,モード列をより効率よくサンプル手法も開発した.得られた手法を発光細菌に発現抑制制御に適用し,有効性を確認した.現在,この成果を国際論文誌に投稿中である. 問題C:区分的アファインシステムに対して,制御入力の影響力を表す指標である線形システムにおける可制御性グラミアンの概念を拡張し,その計算手法を提案した.また,発光細菌に対して本手法を適用し,その有効性を確認した.現在,この成果を国際論文誌に投稿中である.
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