研究概要 |
本研究では,大型の土木構造物(空港・港湾施設,道路トンネル,大規模地下空間,長大橋など)を対象に, (i)構造物の波動伝播特性・変形の状態を,必要な時空間分解能,必要な精度で,必要なとき(施工時・供用時・突発事象発生直後など)に機動的に展開して計測するフレキシブル計測システム,(ii)計測データに基づく高度な数値解析を用いた実空間構造シミュレーション,を組み合わせて構造物の機能を詳細に把握する高度モニタリングシステムの開発を最終目標とし,その実現のために必要な高機能センサノードを開発する. 本年度は,初年度に開発した試作機を改良し,10台程度のプロトタイプを製作し,小規模のネットワークで,高精度・高サンプリング・レートで時刻同期のとれた計測を行った.また,得られたデータから構造物の復元力特性を得るアルゴリズムを開発し,加速度計測と構造物の塑性化の度合いとを結びつける計測・解析に成功した. 作成したプロトタイプでは,機能・信頼性が高い無線通信装置を利用し,また,高速書き込み可能な不揮発性メモリにデータを書き込めるようにしたため,通信距離が伸び,一般の建造物内部など遮蔽物などが多い劣悪な通信環境でも通信が可能となり,データ欠損もなくなった.サンプリング・レートは約5000SPSまで向上,時刻同期精度は数十マイクロ秒まで確保された.このようなロバストな通信・データ保持機能を持つセンサノードはセンサネットワークを用いた社会基盤施設のセンシングには必要不可欠な装置である.
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