研究概要 |
瀬戸内海洋上を対象として,風況の他に水深,自然公園,航路などの制約条件を考慮したGIS解析を行い,瀬戸内海洋上における風力発電可能量を試算した.1500kW級の風車を520m間隔で対象地域に設置すると仮定したところ,風速,水深,自然公園,航路の制約条件を課さない場合は年間発電量247TWh,風速6m/s以上,水深20m以下,自然公園全体と航路を除外の制約条件の下でも年間発電量32TWhという膨大な風力エネルギーが得られることが明らかとなった.海域では,関門海峡付近の周防灘,四国佐田岬,淡路島・鳴門付近が特に有望であることが判明した. また,瀬戸内海沿岸の代表的なコンビナートである宇部,周南,水島の3地域について,風況数値シミュレーションを行うとともに,GIS解析を援用して,風力発電可能量や水素製造可能量の試算を行った.宇部は風況が良く,沖合には水深の浅い海域が広がっており,コンビナートと連携した洋上発電に有望であること,周南はコンビナート周辺を高い山で囲まれており,それらの山頂付近では高い発電量が期待できるものの,沖合は水深が急激に深くなるため,洋上発電には向いていないこと,水島は風速は弱いものの,水深が浅く島も多いので洋上発電には適した条件を備えていることなどが明らかとなった. さらに,宇部において,風向風速計およびドップラーソーダを用いた風況予備調査を行い,概略的な風況を把握した.
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