研究課題
動電的手法に音波の脱着効果を付加した新技術であるEASD(Electro-Acoustic Soil Decontamination)は,重金属・揮発性有機化合物で汚染された難透水性地盤に対する原位置汚染修復法として、その有効性が期待される数少ない技術といえる。本研究ではこの手法の確立に向けて、特に音波付与の効果に焦点を絞り、基礎的なデータの蓄積を目指した。本研究では密閉式の圧密試験容器に近い浸透実験装置(一種のコラム試験器)を試作した。この装置の特徴は、1)密閉式であるため、大きな水圧(動水勾配)をかけることができ、短時間で試料内に汚染物質を含んだ溶液や脱着のための水(純水)を浸透させることができる。2)デッドウェイトで鉛直圧密圧力をかけ、それに振動を加えるので、種々の拘束圧(応力履歴)の下で試験が可能。振動による圧力波を土圧計(或いは圧電センサー)により計測し、圧力波としての音波の伝播割合を確認できる。3)圧密リングに試料を入れるため、現場から採取した土も容易にセットでき、実験後の化学分析用の試料採取も簡単に行える。4)排出液の濃度変化(breakthrough curve)と浸透後のサンプルの濃度分布により、脱着の程度を調べることができる。これらを用いたコラム試験と一連のバッチ試験により、イライト粘土の重金属(亜鉛イオン)吸着、脱着特性とそれらに及ぼす音波付与の影響を調べた。その結果、以下の成果を得た。即ち、1)試作装置によりこれまでよりも短時間で、正確にコラム試験を実施できる。2)亜鉛のような重金属イオンは一旦粘土鉱物に吸着すると、溶液の希釈、水の透水程度では脱着は殆ど生じず、極めて強固な吸着形態である。しかしコラム試験、バッチ試験ともに音波を付与することにより、脱着が生じる。更に、この種の実験を行う上での各種要因の検討、試験試料の作成方法の影響についても明らかにした。しかし、本研究の条件で確認された上記脱着の程度は10%程度であり、その効率を上げるためにはより効率的な音波の付与、音波以外に脱着を促進させる環境(電気泳動条件、pH調整等)の検討を含め更なる研究の発展が必要である。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (7件)
Proc. International Conference on Water Pollution in Natural Porous Media at Different Scales, Assessment of Fate, Impact and Indicators, (WAPO2)
ページ: 427-434
第42回地盤工学研究発表会論文集 (掲載決定)
Proc. Fourth International conference on Remediation of Contaminated Sediments (掲載決定)
Proc. 7^<th> Geoenvironmental Symposium (掲載決定)
第41回地盤工学研究発表会論文集 2
ページ: 1169-1170
Proc. Symposium on Infrastructure Development and the Environment, Quezon City, Philippines (CD-Rom)