研究概要 |
まず,18年度の研究計画は以下のようであった. 開発1.過去数十年の客観解析データとメソスケール気象モデルで,PMP(可能最大降水量=物理的に考えられる降水量の極値)を求め,そもそも,気候変動によっても変動しない確率降水量・確率洪水を求める手法.18年度は「台風ボーガス導入手法の高度化」と「観測データの同化手法の開発.高度化」を行なう. 開発2.確率統計的に,今後100年間の「豪雨の記録の伸び」を予測するモデルを作り,100年先を先取りした計画を策定する手法.18年度は「100年後の気候の予測値」を用いた解析を行なうと同時に,SSTと降水量の関係の解明を行なう. 開発3.現在使える降水量データから,豪雨の「真の母集団」を求める数学的な手法.18年度は「ロバストな予測をするための数学的手法」の調査を行う. 得られた成果は,以下のようである. ○開発1に関し,気象モデルMM5を用い,九州地方,三重県域を対象として,「豪雨における山地の影響」を証明した.台風等で,山地を仮想的に取り払うと,豪雨の強度が弱まることを見出した. ○開発2に関し,SSTと降水量だけでなく,気候変動において,太陽活動の影響が非常に大きいことを見出した.SST,太陽活動,地磁気,降水量,地球表面温度等の関係について,検討した. ○開発3に関し,降水量データの統計モデルへの適合度を評価する手法について検討した. 総括すれば,目標の70%程度の成果が得られたと考える,次年度に,遅れを取り戻す.
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