研究概要 |
本研究課題では,ロバストな河川計画を立案する手法を開発することを目標としており,想定した手法は,以下の3つであった. (1) 過去数十年の客観解析データとメソスケール気象モデルで,PMPを求め,そもそも,気候変動によっても変動しない確率降水量・確率洪水を求める手法. (2) 確率統計的に,今後100年間の「豪雨の記録の伸び」を予測するモデルを作り,100年先を先取りした計画を策定する手法. (3) 現在使える降水量データから,豪雨の「真の母集団」を求める数学的な手法. 結果として,(2)に分類される以下の手法が,ロバストな河川計画を立案する手法として有力であると考える.まず,過去の降水量データの時系列から,マルチフラクタル的な特徴をつかみ(現時点では3つのパラメータを同定することを意味する),確率統計的な時系列を生成する.ただし,ここで,気象学的に現実的ではない,「極端な降水量」は除外する.この「極端な降水量」は,PMPを上回る降水量という意味であるが,PMPを求める研究課題(上記1)については,3年間で十分な研究成果が出たとは言い難い.しかし,紀伊半島の豪雨の地形的な要因(山地の存在)を明らかにし,また,紀伊半島の南西部では梅雨期の降雨が支配的であり,南東部では9,10月の降雨が支配的であることなどを明らかにした.また,降水量データとして,NCEPの再解析データを用いることで生ずる問題点等も明らかにした.
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