(1)根・地下茎の侵入力測定装置の作製 植物の根系が水分を求める性質を巧みに利用した侵入力測定装置を開発した。基本構成は根や地下茎の誘導部分と、それらが障害物を押し付ける力を測定する荷重測定部とから構成されている。誘導部分は、地下茎を荷重測定部まで誘導させるための円錐ガイドからなり、荷重測定部は、許容荷重10Nのロードセルに取り付けられた荷重受け板とその反対側に取り付けられた湿潤土壌入りの容器とから構成されている。 (2)緑化用植物の根・地下茎の侵入力測定 試験試料には大きな侵入力の予想されるクマザサ、ノシバを用い、本研究で開発した侵入力測定装置を用いて試験を実施した。本実験において、クマザサではロードセルの許容最大値である9.8Nの押し付け力と押し付け力増加速度1N/時間が観測された。一方、ノシバでは押し付け力の最大値6N、押し付け力増加速度0.75N/時間が観測された。また、両地下茎の押し付けの傾向として、夜間にかけて上昇し、日中は低下する周期性を示し、これら根系の押し付ける力と特性を本装置により観測することができた。 (3)根や地下茎先端の力学的特性の測定 簡便で再現性のある防水層の耐根性評価試験方法を開発した。試験試料にクマザサとノシバを用い、耐根性試験を行なった。試験方法について、根の先端を模擬した針を防水層に侵入させ、その時の荷重と模擬針の変位を測定した。試験の結果、防水層の厚さの薄いもの、材質の柔らかいものでは、地下茎が貫通することを明らかにした。また、模擬針を用いた侵入試験結果と実植物を用いた耐根性試験結果とを比較した。これより、0.3φmm、0.5φmmの先端を持つ模擬針を用いた時の最大荷重値、もしくは変位1mm時の荷重値が、防水層耐根性評価のためのスクリーニング的意味での簡便な尺度として有効であることを示した。
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