研究概要 |
高空間分解能の航空機リモートセンシングデータ(MSSデータ)による高精度の土地被覆分類手法を提案するために,従来の方法で用いられていなかった冬の昼・夜のマルチテンポラルデータを加え,夏・冬の昼・夜マルチテンポラルデータを用いた土地被覆分類アルゴリズムの開発を行い,複数の典型的な市街地街区を対象としたケーススタディを通して本手法の有効性を検証した。その結果,夏のMSSデータだけを用いた従来の分類方法では,日影や倒れ込みの影響により判別が困難となった(誤分類されやすい)画素は細分類できた。従来の方法による木造建物の分類の正答率は最高で90%程度だったのに対して、本提案の手法では95%の高精度となった。また,RC造建物でも90%程度の精度が得られた。 夏・冬の昼・夜マルチテンポラルデータから表面温度のシミュレーションに必要な各土地被覆の日射反射率を推定する方法について検討し,データ解析のアルゴリズムを作成した。代表的な市街地街区の観測データを用いた検討の結果では,目視判読による結果に比べ,推定した日射反射率は,木造建物の場合,ばらつきが比較的大きかったが,地表面やRC造建物の場合,近い傾向を示したことが明らかになった。 数値シミュレーターによる三次元全表面温度分布画像をリモートセンシングデータ解析ソフト上で再現できる処理手法を検討し,複数棟の建物から構成された街区においても表現できるアルゴリズムの開発を行った。
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